教育の在り方を考える(「投資」としての見方・効果)

2014-07-28

社内研修費用、外部研修費用、OJTにおける教育費用、研修のための交通費・宿泊費、教育のためのプラン・教材作成、教育に係る人件費など人材育成には様々な費用を必要とします。
これらの費用を「投資」として見るのと、「経費」として見るのとでは、全くその目的、位置付け、価値が異なってきます。
「投資」としての見方により、事業と人材育成の融合が可能となります。

人材育成の現状

殆どの企業が、「投資」であるといいながら、その実態は「経費」として扱っているのではないでしょうか。
○投資ならば、なぜ、投資対効果を測定しないのでしょうか?
○投資ならば、なぜ、コスト削減で真っ先に教育費が対象になるのでしょうか?

ドラッカーは、「あらゆる組織が、『人が宝』と言う。ところが、それを行動で示している組織はほとんどない。本気でそう考えている組織はさらにない。ほとんどの組織が、無意識にではあろうが、19世紀の雇用主と同じように、組織が社員を必要としている以上に社員が組織を必要としていると信じ込んでいる」と言っています。

教育・人材育成の基本

人材育成の基本を忘れ、単年度の教育実施実績により評価している企業は少なくないと思います。
①能力、スキルは仕事に中で身に付けるもの
このためには、組織的な人材育成の仕組みが必要。まずは経営、上司の意識改革です。
②技術、知識は、自己責任の下で自らが磨くもの
このためには、個人のモチベーション、価値観が重要となります。
③会社、組織が人材育成するのではなく、人材育成のための環境を提供する役割を担うもの
ここで言う環境は、社内研修カリキュラムを指しているのではありません。

研修を外部機関に委託している企業も多いと思いますが、企業からの研修要望に応じて研修を提供しているのが実態ではないでしょうか。企業が求めているのは、研修を実施する事ではないはず。その背景にある事業の中にあるはずです。

前述の人材育成の基本からは、極論ですが外部研修期間は不要ということになります。外部研修機関も事業継続の観点からその役割、ミッションを見直すべき時期に来ていると考えます。
では、外部研修機関のミッションはどこにおけばよいのでしょう。特性により異なると思いますが、基本的には2つあると思います。
①知識のインプット
②企業自ら人材育成できる組織・仕組みづくりを支援する事

これからの人材育成

要するに、企業は自らが、
・自らが人材育成する組織・仕組みを作り、人材育成に取り組むこと。
・そのために外部研修期間は必要かを吟味し、委託する目的を明確にすること。
・人の能力、スキルを構造化し、会社の業務とマッチさせて人材育成の仕組みを構築すること。

人の能力の構造とは、基本的に次の3階層からなり行動に結びついていると考えられます。
・能力、スキル(育成可能なもの)
・知識(能力、スキルを磨くために必要なもの)
・適性・資質(適正配置の前提とすべきもの:適職、モチベーション、ストレス等)
適性・資質については、従来の人材育成、マネジメントでは、個人の経験、主観に委ねられていたものです。

それに、もう一つの大きな問題は、人材育成の結果評価の在り方にあると思います。
どの企業も事業計画の中に人材育成を盛り込んでいると思いますが、その結果は、
・計画通りの研修を実施した
・スキルマップ、能力・技術チェックシートに基づき、スキルアップし目標UPした
などのような内容で評価している企業が多いのではないでしょうか。
人材育成の目的は、事業の中のあるはずです。事業と人材育成のGAPを埋める評価の仕組みが重要。

ビジネス・イノベーションを目指すためには、まず以上のような視点での人材育成のイノベーションが必要と考えます。

 

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